悼む:彫刻家・佐藤忠良さん=3月30日死去・98歳
◇「根っこ」に思いはせる巨匠--佐藤忠良さん(さとう・ちゅうりょう)=老衰のため、3月30日死去・98歳
戦後彫刻界を代表した巨匠はサービス精神旺盛で、常に記者を笑わせてくれた。
裸婦像の魅力を語った時は「男が嫌いなのかな。でも顔(頭部像)は男もありますよ」。話題が子供の像になれば「たくさん作ると『小児科の佐藤だ』 と言われちゃってねえ」という具合。威張らず、誰に対しても態度を変えなかったのは「知識や権力のある人より、普通の人々が立派だった」というシベリア抑 留時代の人間洞察が影響したのかもしれない。
だが、具象彫刻の本質に話が及ぶと言葉は一気に厳しさを増した。全身像であれば「彫刻として立つ必然性がなくてはだめ」と語り、自然観察の重要性を説いた。
「東京美術学校(現・東京芸術大)時代の樹木デッサンで、『上部を支え、倒れまいと地にはいつくばる根っこの気持ちになって描きなさい』と教えら れました。植物の気持ちになることが、立つ彫刻を支えるんです」。外見をなぞっただけでは人体彫刻にはならない、というのだ。「凜(りん)とした」などの 形容詞では言い尽くせない、「強さ」が作品に通底していた。
徹底的な自然観察は「帽子・夏」など、ジーンズをはいた女性像の誕生にもつながった。「動く時にできるしわが、呼吸しているように見えるんです」。「根っこ」に思いをはせる態度は、人生の苦労や切なさをにじませた、一連の頭部像にも生かされたのは言うまでもない。
東京・世田谷美術館で昨年末から3月初旬まで開かれた回顧展に足を運ぶことはかなわなかった。それでも開催を大いに喜び、アトリエで描いた綿の実 のデッサンを学芸員に託し、最期まで「現役」を貫いた。来年は、宮城県美術館で生誕100年の記念展が開かれる予定だ。【岸桂子】
毎日新聞 2011年4月17日 東京朝刊
訃報:島田陽子さん81歳=詩人、エッセイスト
島田陽子さん81歳(しまだ・ようこ=詩人、エッセイスト)18日、すい臓がんのため死去。自宅は大阪府豊中市北緑丘2の1の20の902。葬儀は近親者のみで済ませた。後日、お別れ会が行われる。
東京都生まれ。70年大阪万博のテーマソング「世界の国からこんにちは」を作詞。他の主な作品に、詩集「大阪ことばあそびうた」、エッセー「うたと遊べば」など多数。現代詩、大阪弁の創作詩など幅広く活動した。
毎日新聞 2011年4月21日 13時29分(最終更新 4月21日 16時35分)
島田 陽子(しまだ ようこ、1929年 -2011)は、日本の詩人である。
東京都出身であるが、11歳から大阪府に在住。豊中高等女学校(現大阪府立桜塚高等学校)卒業。「文章倶楽部」などで小説を書いた後に1960年頃から童謡や児童詩の創作を始める。大阪弁を使った親しみやすい作風の詩で知られる。また、合唱曲などの作詞も多数あり、1970年の大阪万博のテーマソング「世界の国からこんにちは」の作詞も行っている。
日本文藝家協会、日本現代詩人会、日本詩人クラブ、日本童謡協会、詩と音楽の会会員。日本現代詩歌文学館評議員。1993年には、第28回大阪市民表彰(文化功労)を受賞。また、2003年まで帝塚山学院大学で講師を務めた。
著作 [編集]
詩集 [編集]
- 新日本現代詩文庫・新編島田陽子詩集 ISBN 978-4812013663
- 大阪ことばあそびうた ISBN 978-4892710070
- ほんまにほんま(共著)
- かさなりあって ISBN 978-4477010595
- うち知ってんねん ISBN 978-4316400075
- 帯に恨みは ISBN 978-4892715723
エッセイ [編集]
- うたと遊べば
- 金子みすゞへの旅
- 方言詩の世界‐ことば遊びを中心に ISBN 978-4916041845
作詞 [編集]
- 世界の国からこんにちは
- おおさか風土記
- おおさかグラフィティ-
- 木と草と花のバラード
- 大阪ことばあそびうた
大阪ことばあそびうた [単行本]
島田 陽子 (著)Zoom
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