2008年1月16日 星期三

仙田実 (せんだみのる)


地方史研究 生涯ささぐ

「学校の思い出、1番は先生」


おもいで おもひ― 0 【思い出】

〔「想い出」とも書く〕
(1)前にあった出来事や体験を心に浮かべること。また、その内容。追憶。追想。
「―にふける」
(2)昔を思い浮かべる材料となる事柄。
「一生の―となる」「―の品」

おもいで 思い出

memories; reminiscences; recollections.
~の多い full of memories; memorable.



父が書いた歴史の覚え歌の原稿を繰る典子さん(岡山市の自宅で)

 備前市、和気町の中学校で30年近く社会科を教えながら地方史研究に打ち込み、末期がんとわかった後も研究や著作を続け、昨年10月、82歳で亡 くなった岡山市津島新野、仙田実さんをしのぶ会が2月2日午前11時、同市の岡山ロイヤルホテルで開かれる。開催を呼びかけた教え子や親交のあった人たち は「研究熱心で、厳しいけど、楽しい授業をしてくれた先生の思い出を分かち合いたい」と話す。多くの人に慕われた仙田さんの足跡をたどった。(日下一功)

 仙田さんは岡山大卒業後、社会科教諭になり、1955年4月、旧備前町立片上中学校を振り出しに、旧和気町立金剛中(1963年に同和気中に統 合)、和気中で教え、1985年3月、備前市立伊里中教頭を最後に定年退職。その後、就実女子大(現・就実大)の非常勤講師、同市文化財保護審議会委員な どを務めた。

仙田実さん

 中学の歴史の授業では、「ピテカン(約50万年前のジャワ島の直立猿人ピテカントロプス・エレクトウス)は『旧ジャワこれ(50)直立し』」「シ ナントロプス(40万年前の北京原人シナントロプス・ペキネンシス)北京によれ(40)ば」など、しりとり調の覚え歌を作り、生徒の関心を高めた。A3大 の原稿用紙に、歌をペン字でびっしり書いた原稿用紙は年ごとに増え、自宅に残るそれらの厚さは「広辞苑」ほどもある。

 和気中で教え子だった和気町教委社会教育課長の三村清介さん(54)は「ふざけていると、ほおをひっぱったき、厳しかったが、授業は面白かった。中学の先生で思い出すのは第1に仙田先生」という。

 こうして熱心に教える一方、休日には文化財を訪ね、お年寄りや関係者に聞き取りをしたり、文献を調べたりして、郷土の歴史を研究し続けた。和気中 で教師をしていた68年、最初の著書として、中学社会科の歴史副読本の「和気の歴史」を刊行。その貴重な研究が評価されて第1回岡山出版文化賞を受賞し、 今も参考図書として地方史研究者らに利用されている。歴史、同和問題、昔話、教育など、自著や共著、編集した書籍は全部で30冊を超す。

 がんは、2001年7月のある朝、起きられなくなり、受診してわかった。医師から前立腺がんと告知され、末期と知ったが、淡々と受け入れたという。「思い残すことのないように」と、入院中に社会をどう治めるべきかを考えた著作「20世紀超克論」を書き上げた。

 ホルモン療法と栄養療法で元気を取り戻し、1か月半後、自宅療養になってからも、「吉永町史」「和気郡史」などの執筆や編集に没頭した。

 06年5月、文化財保護への貢献がたたえられ、県文化財保護協会賞を受賞した。表彰式に2本杖(つえ)で出席するほど、まだ元気だったが、その2 か月後、資料調べに訪れた岡山市の神社で転び、再入院。昨年10月5日未明、息を引き取った。がんが脳に転移し、脳出血だった。

 翌日、密葬が営まれたが、死を知らなかった人たちから追悼の声が、妻の都さん(81)と長女の元高校講師・典子さん(51)が住む自宅に相次ぎ、柴田一・前就実大学長を代表とした呼びかけ人たちが、「仙田実先生を偲(しの)ぶ会」を企画した。

 その1人で、仙田さんと「和気の医療史」(第35回岡山出版文化賞受賞)を著した和気町歴史民俗資料館の非常勤職員、日笠民子さん(63)は「知識が豊富で、どこにどんな資料があるか、よく教えてもらった。貴重な資料を見つけだされたことも多く、功績は大きい」と悼む。

 昨年12月28日、出版社・文芸社から典子さんの元に、父との共著「昭和の遺言 十五年戦争」が届いた。満州事変、日中戦争、太平洋戦争の従軍兵 士約200人から1990年半ばに聞き取り調査し、まとめた仙田さんの最後の刊行本。「出版が楽しみ」と病床で口癖にしていた。2日の「偲ぶ会」で、出席 する約130人全員に贈る。

 典子さんは父について、「『自分には、これしかない』と言い、コツコツ調べる努力家だった。勤めから帰ると書斎にこもり、家族だんらんも記憶にな いほど。でも、同窓会にはよく招かれ、教え子に慕われていた」と思い出す。「突然亡くなり、お知らせできなかった人が多く、この会でしのんでいただきた い」


しの・ぶ 2 0偲ぶ/慕ぶ】

(動バ五[四])
〔上代は「しのふ」と清音〕
(1)過ぎ去ったり遠く離れたりしたことや人を、なつかしむ気持ちや賞賛・同情の気持ちをもって思い出す。追憶する。
「故郷を―・んで涙を流す」「故人を―・ぶ」「先人の苦労を―・ぶ」
(2)(「しのばれる」の形で)好ましいことが自然と推測される。
「お人柄が―・ばれる」「教養の深さが―・ばれる」「昔の栄華が―・ばれる」
(3)目の前にある物の美しさを賞賛する。めでる。
「秋山の木の葉を見ては黄葉(もみち)をば取りてそ―・ふ/万葉 16」
(動バ上二)
(1)に同じ。
「なき人を―・ぶる宵のむらさめに濡れてや来つる山ほととぎす/源氏(幻)」
〔本 来は四段活用の「しのふ(偲)」で、上二段活用の「しのぶ(忍)」とは全くの別語であったが、亡き人・別れた人のことを静かに思い浮かべることと、そのつ らさをじっとこらえる(忍ぶ)こととが相通じ、また語形も平安時代にはともに「しのぶ」となったために、両語は交錯し、いずれも四段(五段)と上二段の両 方の活用をするようになった〕



わけ 【和気】

姓氏の一。医道の家として知られる。

和気町の概要

概要

面積:144.23km2
人口:16,180人(平成17年国勢調査値)
世帯:5,475世帯(平成17年国勢調査値)

町章

町章 カタカナの「ワ」をモチーフにして、「ケ」を組み合わせたデザインです。
全体に日本一の藤の花が風に揺れるイメージで、うるおいと安らぎのあるまちをあらわしています。

スローガン

「元気・やる気・日本一」


2008年1月15日 読売新聞)

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