「細胞融合」を発見、文化勲章受章の岡田善雄氏死去
細胞融合現象を発見し、生命科学の発展に大きな貢献をした文化勲章受章者の大阪大名誉教授、岡田善雄(おかだ・よしお)氏が16日、解離性大動脈瘤(りゅう)で亡くなった。79歳。
告別式は18日午前11時、大阪府箕面市半町4の6の32箕面市立聖苑。喪主は妻、欣子(よしこ)さん。
広島県呉市出身。大阪大医学部卒。同大の微生物病研究所教授、細胞工学センター長などを歴任し、1982年に文化功労者、87年に文化勲章、2000年に勲一等瑞宝章。90年から昨年3月まで千里ライフサイエンス振興財団理事長。
「生物の細胞は互いに細胞膜で隔てられ、合体することはありえない」という生物学上の“常識”を覆したのが「細胞融合」の発見だった。微生物病研 究所助手時代の54年、センダイウイルスによる融合現象を世界で初めて見つけ、57年に論文発表した。異なる二つの細胞の性質が混じった細胞を作る技術 は、遺伝子組み換えなどとともに、バイオテクノロジーの柱の一つになった。
(2008年1月16日20時11分 読売新聞)出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
岡田 善雄(おかだ よしお、1928年3月10日 - 2008年1月16日)は、細胞生物学者。
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[編集] 経歴・人物
広島県呉市出身。呉第一中学(現呉三津田高校)、高知高校を経て1952年、大阪大学医学部卒業。
大阪大学微生物病研究所助手となった後の1955年、ウイルスをがん細胞に注射したところ、見たこともない巨大細胞ができた。異なる細胞が一つになる「細胞融合」という生物学の常識を覆す大発見の瞬間だった。
細胞をウイルス感染に融合させるという手法に用いたこのウイルスは、アメリカへの移送元である東北大学にちなみ「センダイウイルス」、あるいはHVJ(日本の血液凝集ウイルス)として世界に知られている。
1957年にこの研究に関する論文を発表した。これ以後、人間とネズミとの細胞融合をはじめ、色々な組み合わせの融合ができることが分かり、欧米で大きな反響が起こって画期的大発見と最高の評価が下された。
しかし当時の国内では意義を理解する人は少なく、環境の整った欧米で研究は花開き生命科学の発展に繋がっていった。
岡田自身ははその後は細胞外融合反応、体細胞の遺伝学的研究、体細胞の細胞工学的研究を進めバイオサイエンス、バイオテクノロジーの発展に寄与した。
大阪大学教授を経て、1972年大阪大学細胞工学センター長に就任。
1990年より財団法人千里ライフサイエンス振興財団理事長。
1991年大阪大学退官。日本細胞生物学会会長などを務めた。
細胞融合現象の解析の研究により、下記に掲げる各賞を受賞した。
[編集] 賞詞
[編集] 主な著書
- 細胞融合 (1971年)
- 細胞行動と器官形成 (1973年)
- 細胞融合と細胞工学(1976年)
- 体細胞遺伝学 共著(1981年)
- 細胞の増え方(1989年)
- 細胞融合と生命科学(2001年)
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